平安装束に限らず、時代衣装体験には結構お金がかかる。衣装代はもちろんだが、多くの場合京都など遠方へと出かけることになるので、毎回交通費だけでも相当な出費となる。そんな中、地元・愛知県で1000円台での時代衣装体験が出来る場所があると聞き、早速乗り込むことにした。思い立ったらすぐに行ける、これが近場の良いところである。
今回の体験スポットは愛知県犬山市の博物館明治村。こちらは広大な敷地内に明治時代の建造物が移築された体験型レジャー施設で、歴史の勉強の名目か県内の小学校の遠足に良く利用されている。かく言う私も小学生時代に遠足で訪問したが歴史の勉強などする気はさらさら無く、施設の一つ「日本赤十字社中央病院病棟」に霊が出るなどと騒いで同じ班の女子にトラウマを与えるという懐かしき思い出がある。あれから約10年、まさか明治時代の衣装を着用するために再びこの地を踏もうとは当時の私には想像がつかないことであった。まさか装束マニアになるとは予想だにしなかったので人生はミステリー。
犬山までは名古屋から電車で約20分。名鉄犬山駅から出ているバスに揺られること更に20分で明治村に到着した。入り口となる正門は「旧制第八高等学校正門」。赤茶けたレンガと鉄の柵がいい感じではないか。入村料は通常大人1600円、そして明治生まれの人は無料!該当者の人は要チェックである。夏場などは浴衣姿の女性は無料になるなど粋な計らいもあるので、事前確認をお勧めしたい。
村内に入るともう明治時代である。古く、それでいてモダンな当時の建物に囲まれ、蹄の音も軽やかに馬車が行き交い、汽笛に振り向けばSLが疾走する。そして日が落ちればガス灯の落ち着いた照明が幻想的空間を演出。日本人なら誰もが懐かしさを感じるであろう。「21世紀」を感じさせるものなど無い。あるとすれば自らのバッグの中で時計代わりと化した携帯電話ぐらいである。
明治気分を満喫するよりも先に、まずは空腹を満たさねばならない。文明開化の象徴である牛鍋を扱った「大井牛肉店」に非常に興味をそそられたものの4000円は少々お高い。これではせっかく格安で時代衣装体験をしに来たのに台無しになってしまう。
そんなわけで本日のランチは「洋食屋 浪漫亭」でいただくことにした。こちらのメニューはビフテキ(死語)、ハヤシライスなど当時のセレブたちが口にしたと思われる洋食である。中でも気になったのが「ヲムライス」。あえて「オ」ではなくて「ヲ」と表記してあるところがこだわりを感じさせる。明治時代のヲムライス、果たしてどんな味なのか・・・と期待は膨らむ。
しかし、出てきたのは普通のオムライスであった。非常に普通。いつも家で食する、あのケチャップの。まあヲムライスもオムライスも同じと言う結論に達し、無言で完食したのであった。