以前からずっと参加したいと願っていたお祭りがある。
三重県明和町で毎年6月に開催される「斎王まつり」である。このお祭りは、いにしえの時代、都から伊勢へと下っていった未婚の皇女の群行を再現したもので、斎王を筆頭に多くの女官や従者の華やかな行列ががかつて斎王が生活していた「斎宮」跡地である明和町を練り歩くという。
装束好きなら絶対見たい。いや、むしろ参加したい。
しかし、過去の経験からこういう祭りは地元の方しか参加できないというのが多かった。
果たしてこの「斎王まつりはどうなのだろう・・・そんな心配も今回は無用。三重県外からの応募も可能とのことであった。
そうとわかれば善は急げ。早速写真二枚とプロフィール、斎王への思いを書いた小論文を添えて応募してみた。
憧れだった「斎王まつり」への参加を手にし、本当にこの時は舞い上がってしまった。
3月半ばに明和町にある「いつきのみや歴史体験館」で配役選考会が開催されるとのことだった。
そう、以前「平安婚礼」で御世話になったあの博物館である。懐かしい・・・懐かしいのは嬉しいけど相変わらず名古屋からは結構遠い。しかし、遠かろうが何だろうが行かないと始まらない。そんな考えで選考会に行ってきた。
以前来た時はあまり人の姿が見えなかった明和町「斎宮駅」周辺だが、この日はやはり賑わっていた。途中実行委員と思しき男性に「今日は頑張ってね!」と声をかけられて緊張がほぐれた。
歴史体験館に入ると祭りについてのパンフレットと併せて選考会参加者の名簿が渡された。
全部で20人ぐらいだったと思う。それを見て私は驚いた。愛知など県外から応募する人なんているわけない、なんて思っていたが奈良県・・・静岡県・・・上には上がいるものである。
実行委員の皆さんの挨拶の後、参加者は5〜6人の4組のグループに分けられてグループごとに面接を行うと聞かされた。ちなみに私と同じグループには前述の奈良、静岡の方もいて待ち時間に遠方からの参加者同士いろいろ語り合った。
奈良のIさんは二年前にも参加しているそうでその時は「采女」役を務めたと語ってくれた。そして彼女から教えてもらったのだが・・・参加者の中に何人かミスコン経験者がいるらしい。
確かに周りを見渡すとスレンダーかつ美しい方ばかり。私は猛烈な場違いであった。
まるでクジャクの群れにスズメが迷い込んだような感じだ。この状況で斎王役狙いでいっても勝ち目無いので諦めると同時になぜか緊張がほぐれた。
面接は審査員がずらっと並ぶ部屋にグループごとに呼ばれる・・という流れで行われた。 面接という行為自体がものすごい久しぶりで頭が混乱してどうでもいい事をベラベラとしゃべってしまった・・・ 前日にどんな事を言えばいいか考えたのに全く思い出せなかった。 同じグループの人には「すごくたくさん話していたね。」と言われたけど途中意味不明なことを言ったりして審査員がドン引きしたんじゃないかと心配して軽く落ち込んでいた。
全てのグループの面接が終わり、一度体験館を出た。案内されたところは公民館みたいな感じの決して広いとはいえない建物に案内された。ちょうどお昼時。参加者には古代米を使ったお弁当が振舞われた。
古代米は一見すると赤飯のような色で、白米より風味が豊かな感じ。個人的にはかなりおいしいと感じた。
食事の後、体験館に戻りいよいよ斎王役の発表が行われた。
その頃の私は決して斎王役は無理と最初から思っていたので他の方よりは落ち着いていたと思う。
どんな役でもいい、参加できるのなら・・・そんな心境であった。
そして見事に斎王役に選ばれたのは地元・明和町の方であった。ご本人が一番驚いていたようだったがとても可愛らしい方でまさに斎王にふさわしい感じだった。誰もが祝福する中で前年度の斎王役の方から檜扇を授与されて本年度の選考会は終焉を迎えた。
解散後、まだ時間にゆとりがあったので体験館にある装束を羽織ったりしてしばらく遊んでいたら地元の子供にいろいろ話しかけられた。
「お姉ちゃん斎王さんになるん?」
「いや・・お姉さんは斎王になれなかったんだよ。」
「でも顔が斎王さんに似てる」
うん、子供とは純粋で正直者である(←問題発言お許しを)
・・・「で、あなたは何の役だったわけ?」そう思う方、少し待って頂きたい。
この日の選考会で決まるのは斎王だけであった。他の配役は後日郵送で通知されるようでまだまだ楽しみが残ることになった。
年齢のことを思うと「女別当(女官の偉い人)」がいいなと図々しい事を考えて過ごした数日後、配役を知らせる通知が届いた。
「采女役」
!!やった!!采女って言ったら天皇の御膳に携わる後宮の女官で全国から選ばれた容姿の美しい女性だったという。
そんな役に選んでもらえて光栄というか身分不相応すぎて申し訳ない気持ちになった。
そして来るべき6月の祭り当日が楽しみで仕方なくなった。