ここ数年、「舞妓体験」の店がどんどん増えている。「るるぶ」などのガイド本を見るたびに増えているような・・・。私が初めて舞妓体験をしたのが約10年前。当時はほんの数件しかなかったと記憶している。
舞妓体験店が次々にオープンしているのに対して、本格的な「装束」を着せてくれる店、施設はそれほど増えていないのでは?京都での装束体験を「やりつくした」ように感じていた私が「黒田装束店」を知ったのは華やかな表紙で彩られたメジャーガイドブックではなく、本棚の片隅にひっそり佇む小さな冊子であった。
その本には「体験施設」のページがあり数件の舞妓体験店、風俗博物館などと同じように「黒田装束店」が紹介されていた。私は初耳だったけど、京都のお祭り等の装束を調進している歴史ある老舗装束店とのこと。そして何より驚いたのが体験料だった。束帯・女房装束各壱萬円也(平成17年当時)。本格的な束帯が着られる場所は稀であり、さらに金額がかなり高い。それなのに・・・気がついたらその本を抱えてレジに直行。もはや現地突撃以外の選択肢は考えられなかった。
で、京都に上洛。今回も貴輔中将様を拉致同然に同行させてしまった。反省はしていない。まあ、何度か装束を着てみて本人もまんざらでもないような感じだったけど。
場所は京都御苑のすぐ近くの大通り沿い。それらしき建物を探しながら歩いていると、由緒正しそうな伝統を感じさせる看板を発見した。何年前からあるのだろうか。ちょっと入りにくい雰囲気だけど期待しながら入ってみる。
出迎えてくれたのは京都人らしい優しそうなご主人と美人の奥様、そして威厳オーラ絶賛放出中のご老公の三名だった。このご老公の名刺を頂いたのだけど、肩書きが「祭典調度 御装束司 株式会社・黒田装束店 代表取締役」・・・と何かすごい。
装束店、と言っても普通の呉服屋とは違って「店」という感じではない。玄関のすぐ近くの普通の部屋(屏風やら几帳などの小道具一切なし)で衣紋、撮影を行うようだ。そう、ここのメインは装束。他の体験施設と比べて写真メインの方には少々物足りないかもしれない。
早速束帯の衣紋を拝見させていただいた。そしていきなり「さすが伝統装束店!」と思わせることがあった。
通常(他の体験施設やお祭り等)では装束を着るときに足袋を履くのだけどこちらでは「襪(しとうず)」が用意されていた。足袋とは違って指先が割れておらず、靴下のような形をしている。金具ではなく、紐で固定されるようだ。一般人が 「襪」を履くなんて滅多にないだろう。
ご老公とご主人の二人によって時折文様などについての解説を交えながらの衣紋。中日ドラゴンズ・井端選手似の貴輔中将様がどのように変身するか乞うご期待!
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しかしながら、いつ見ても装束、特に「袍」の衣紋は難しい。今回の袍は黒地、位階で色が決められているが黒袍はかなり上の階級の物。平安時代から約千年、平成の世では平民でも装束が着られる・・・いい世の中になったものだと痛感した。
ここで初見の装飾品が登場。四角い物体に魚の飾り・・・その名も「魚帯」(そのまんまのネーミングじゃないか)。束帯着装時に石帯につける飾りで「公卿(三位以上)」の魚は金、「殿上人(六位以上)」は銀とされている。
最近の祭事等での束帯着装時では省略される事が多いそうで、意味合いとしては参内する際に自分の身分を証明する通行手形のような役割だったそうで。これまた貴重なものを見させて頂いた。