様々な装飾品の中でも一際輝かしいのが「飾り太刀」だった。螺鈿やら何やら美しく彩られている。下世話だけど参考までに値段を聞いてみた。
ご主人いわく「物にもよるけど数百万円」だとか!じゃあこの束帯本体とか石帯だとか平緒とか全部ひっくるめて総額いくらなの?ねえいくらなの?!(←落ち着け)とにかくまあ、とんでもない金額であることはわかった。まさに歩く身代金。
さあ、太刀を装着して完了!Tシャツにジーパンという平成時代男子日常着の中将様が見事平安時代男子最高礼装に変身した。
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さあ、次は女房装束。こちらの店には「平安時代バージョン」と「江戸時代バージョン」の二種類があるらしい。装束自体はそれ程違いはないようだけど、平安バージョンだとオプション(+3000円)でカツラがあると聞いた。
あまり見る機会のない「近代風」の装束も気になったものの、やっぱりカツラを着けたかったので平安バージョンを選択した。
束帯姿で所在無さげな中将様が見守る中、女房装束の衣紋開始。何度体験しても装束に袖を通す瞬間は本当にワクワク状態。そのうちわくわくさん
@NHK教育テレビ「つくってあそぼ」でも登場するんじゃないかと思うぐらいのテンションなのだ。
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こちらの五衣はあらかじめ重ねた状態で作られている。聞いた話だと、現在着用されている女房装束(皇族方の御衣など)の多くはこのように仕立てられているそう。「もうちょっとこの色が出たほうがいいな」とご老公が襟元を微調整してくれる。なんだかこだわりがありそうで素敵。
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いくら着慣れているとは言え、表着を着せられるあたりまで来るとズッシリ重くなってくる。でもその重みも装束の醍醐味だと思う。しかしまあ、平安時代の貴族女性の皆さんは本当にこの格好で過ごしていたのだろうか?着て移動するだけでもちょっとした筋トレ状態だし、意外に当時の女性たちはガチムチだったんじゃないかい?と、何の根拠もない仮説。
唐衣、裳を着けて衣紋完了。そしてカツラ登場!さらに上がるテンション!・・・だったんだけどカツラサイズが合わない・・・店にあるカツラは一点ものでフリーサイズ。故にしっかりフィットしなくてだんだんズレて来てなんだか大変な状態に。で、「まあカツラなしでもいいや。」という事になり、数枚(主に後姿など)を撮影して外してもらった。
こうして平成の世に蘇った平安時代正装コンビ。何の祭りでもイベントでもないけど、着たいときに装束が着られればそれで充分。古い(いい意味で)装束店の一部屋で、二人並んだら部屋中いっぱいいっぱいになってしまってあまり写真もとれないけど装束の質は上々。とても幸せを感じられた。
一通り写真撮影が終わって装束を脱いだ後、ご老公、ご主人から装束に関する色々なお話を伺った。私を含むマニアが見たら絶対に欲しくなる、様々な装束が掲載されている本(業者向け?)を見せて頂いたり。
私がその年の「斎王まつり」に采女役で参加する事を伝えると、采女とは何か、装束はどんな感じか丁寧に教えて下さって大変参考になった。そして「斎王まつりは無料(注・平成20年から有料化)だけど京都の某祭りで采女をやると○十万円くらいかかる」とのこと。装束裏事情である。
今回の装束体験では白塗りメイクもなく、調度品などを使った凝った写真もない。装束そのものを堪能するシンプルな体験だったけど、得たものは大きかったと思う。
歴史ある装束を歴史ある装束店で体験する。贅沢といえば贅沢な経験かもしれない。昔は一部の特権階級しか触れることが許されなかった装束が今、こんなにも身近な存在になっている。装束が好きな人、興味を持っている人たちのために、狭き門を広げて下さった黒田装束店さんに「一装束マニア」として心からありがたいと思った一日であった。